第628回日本内科学会関東地方会

納豆アレルギーにより遅発性アナフィラキシーを来した1例

演者・共同研究者1) 埼玉協同病院内科 2) 同 皮膚科
○小野塚 良輔 1),肥田 徹 1),土佐 素史 1),守谷 能和 1),
田中 純江 2),伊藤 理恵 2)

【症例】35歳、女性【現病歴】来院前日20時に納豆を食べ、その後
早朝に腹部中心に掻痒感が出現した.呼吸困難も出現したため近
医皮膚科を受診した.デキサメサゾン 3.3mg及びグリチルリチン
40mg、d-クロルフェニラミンマレイン酸 5mgを投与されたが改善せ
ず.全身性の紅班、嗄声、呼吸困難が増悪したためアナフィラキシ
ーとして当院へ転院搬送された.【既往歴】30歳から蕁麻疹(アレ
ルゲン不明)【生活歴】25歳からボディーボード歴あり.10回/年程
度は海に行く.クラゲによる刺傷歴多数あり.【経過】当院来院時に
気道狭窄音は聴取せず.顔面浮腫、呼吸困難、全身の紅斑を認
めたため、アナフィラキシーと判断した.アドレナリン 0.3mg筋注し、
呼吸困難の改善と皮疹の消退を認めた.症状の再増悪を考慮し
入院加療とした.プレドニゾロン 60mg/日投与とし経過中に症状は
増悪せず.プレドニゾロン 30mg/日まで漸減し退院とした.外来で
納豆粘質物、ゆで大豆でプリックテストを施行した.納豆粘質物で
陽性、ゆで大豆で陰性となり納豆アレルギーと診断した.【考察】納
豆アレルギーは納豆の粘調物質中のポリガンマグルタミン酸が主
要アレルゲンである.クラゲの刺傷歴との関連が指摘されている.
稀な症例である納豆アレルギーによる遅発性アナフィラキシーを経
験したため報告する.